2012-02-05

東京ローカル・ホンク 2012. February.10th

1:昨年秋発売された「さよならカーゴカルト」。これは4年ぶりの新しいアルバムですがこれをつくろうとしたきっかけはなんだったのでしょうか?

木下弦二(Vo、G):
とくにきっかけというのはありません。いつも出来るだけ頻繁に出すように心がけていますが、それでも4年に1枚というペースになってしまっています(笑)。

田中邦雄(Dr、Cho):
アルバムは、曲と時間と銭さえあれば、いつでも作りたいものですよ(笑)。

2:「カーゴカルト」という言葉をタイトルに使ったのはどういう経緯からでしょうか?心境などお聞かせ願います。

田中邦雄:
去年の3・11に起因する原発事故以降、日本の暗部がわんさか露呈しはじめたでしょ?今、僕らの回りで現在進行形で起きていることは前代未聞の出来事なのに、いまだにテレビや新聞の言ってることはすべて正しいと思っている人達がいる。コレ冗談みたいなホントの話し。“盲信すな!辛くても真実を知れ!”ですわな。それらを含めたありとあらゆるダメダメなこと達に対する警鐘の意味を込めての『さよならカーゴカルト』なのではないですかね?

簡潔な説明はアルバム・タイトルの名付け親でもあるホンク代表取締役の木下に譲りましょう。

木下弦二:
「カーゴカルト」という言葉を最初に知ったのは諸星大二郎の「マッドメン」という作品でした。しかし、今回のアルバムのタイトルにした意図は「マッドメン」とはあまり関係ありません。

3・11以降、世の中の虚飾が一気に剥がれ落ちた気がしました。幼稚な希望というかお門違いの楽観論から抜け出して「いまここからもう一度やり直したい」という意味を込めました。

3:サウンド面で今回アルバムを作るにあたって、意識したこと、心がけたことは何でしょう?

木下弦二:聴くに堪えるものであること、です(笑)。

井上文貴:よりいい音を、雰囲気のあるテイクを選択していく。

田中邦雄:
ドラマーのワタクシとしては、より一層シンプルに叩くということですかね。録られた音に関しては信頼できるレコーディング・エンジニアとミックスした木下や久保田麻琴さんによるところが大きいですね。

新井健太(B、Cho):
ベースとしては、クニ君のドラムと共にすごくシンプルに、ゲンジくんや井上君が気持ちよく風景を描けるようにプレイしています。

それとは別に今回は2曲でコントラバスを弾いてますが、こちらはどちらかというと、色を出したいというか何かを描きたいという欲求でプレイしました。アルコ奏法(弓での奏法)はそういう、謳わせる表現をするのに適していると思います。しかし私にとってコントラバスでのレコーディングはあまりにも経験が少なくて、難しかった。何かを描くどころかみんなに苦労かけてしまったかもしれません。それでも最終的な仕上がりは結構気にいっていて、やはりやって良かったと思っています。

4:作曲はギターのみですか?最も影響を受けたギタリストは誰ですか?

木下弦二:
頭の中で生まれたイメージを具体化するときはギターを使います。ジェリー・ガルシアには影響されたと思います。

田中邦雄:
私の最も影響を受けたギタリストはキース・リチャーズ大先生ですかね!最初のギター・ヒーローはジェフ・ベック!!マイネーム入りのサインも持ってるぜ!あっ、訊いてない?曲書いてないしねぇ(笑)。

井上文貴:ギターのみ ライ・クーダー

5:「うずまき」から「東京ローカル・ホンク」に改名されて11年。歌に対する向き合い方も変わられましたか?

木下弦二:
歌を作る、という部分では変わりません。歌う、ということについては「細部の表現に対する美意識」よりも、「何が伝わるか」ということに重心を置くようになったと思います。

井上文貴:そりゃかわる。日々かわる。

田中邦雄:より真摯に真剣に。よりいい加減に。

6:今回のアルバムでサウンド的なテーマは意識されたのでしょうか?「さよならカーゴカルト」の中でアルバムのキーになるような曲は?

田中邦雄:
キーになる曲と問われれば、全曲を通して1曲の流れになっていると思っているのですべて。

井上文貴:
テーマではないが曲によっては作り込まないで録るということ。「はじまりのうた」

新井健太:
キーとなる曲は俺が思うに「泥男」と「はじまりのうた」。

木下弦二:
シンプルさと隙間ですね。あと裏テーマとしてのブラジルかな。キーになる曲としては「昼休み」と「はじまりのうた」ですね。

7:歌詞を書くことを意識して普段から心がけていることはありますか?

木下弦二:
自分が何を感じているのか、について常に敏感でありたいと思っています。これは歌詞を書くうえでというよりも人間としてそうありたいと思っています。

田中邦雄:
歌詞を書くにもランニングするにも膝が痛いとうまくないので、最近ではサメ軟骨(錠剤)を摂ることを心掛けています(笑)!

8:好きな作家は?

木下弦二:内田百間、武田百合子、深沢七郎、向田邦子、古山高麗雄などです。

田中邦雄:色川武大

新井健太:池波正太郎、奥田英朗、村上春樹、手塚治虫。

9:その作家の言葉使いなどご自身にどんな影響を与えていると思われますか?

木下弦二:わかりません、多分あると思います。

田中邦雄:影響というより、自分と似ているところを見つけちゃホッとしたり?

新井健太:
池波正太郎の「剣客商売」に出てくる、秋山小兵衞の若妻“おはる”の「〜だよう」っていうのが柔らかくて可愛いけど芯がつよいカンジがして良いです。

10:3月23日吉祥寺STAR PINE'S CAFEまで「さよならカーゴカルトTOUR2011-2012」ということですが、改めてライブに行く人、初めてここから聴く人に対して今回のライブのききどころはどういうところですか?

田中邦雄:いつまでも枯れない“熱き青春の血潮”を聴け!(笑)

木下弦二:
今回、5人の素晴らしいミュージシャンをゲストに迎えます。しかも「ゲスト+ホンク」ではなく「9人組のホンク」として、とても有機的で中身の濃いステージになると思います。ゲストたっぷりの豪華版、というイメージのもっと先にあるものを提示できると思います。

11:ライブとレコーディング どちらが好きですか?

井上文貴:ライブ

木下弦二:どちらも好きです。音楽が好きですから(笑)。

田中邦雄:どっちも好きでどっちも嫌い。

新井健太:ライブもレコーディングも両方好き。違う緊張がある。

12:宇宙人に突然会う事になったら何がしたいですか?

井上文貴:地球に関するむかしの写真や映像があれば、見せて欲しい。

木下弦二:UFOに乗せてもらいたい、今まで疑問に思っていたいろんなことを質問したいです。

田中邦雄:
思考形態が同じようなもので、なおかつ人間よりも優れた叡知を持つ宇宙人であるのなら、“宇宙の真理”や“生きていることの意味”などを問うてみたい。あと“コマネチッ!”とかやらせてみたい(笑)。

新井健太:ウルトラマンのコスチュームでビビらせる。

13:ご自身にとって「音楽の喜び、魅力」って何でしょうか?

田中邦雄:心の栄養(実は身体にもだけど)

新井健太:
演る場合でも聴く場合でも音はどんどん更新されていくけど、自分にフィットするものにおいては自分の中に留まって何かを喚起させてくれる。

木下弦二:
歌詞を歌っていたとしても、最高の瞬間は言葉も介さずに感動を分かち合えること。そして 最高の瞬間は自分という意識も無いような気がします。それは解放だと思います。

14:ご自身にとって「静寂」とは何か?

田中邦雄:静寂

新井健太:自分との対話

井上文貴:何かのまえぶれ

木下弦二:古池に蛙が飛び込むのが聞こえるくらいの静けさ。真の静寂はまだ知りません。

15:年齢を重ねたことで歌が変わったり、世界観が変わったりなどありますか?

木下弦二:
始まりは自分のためであり、自分がどう生きるかがメインテーマでした。年齢を重ねてきて世の中に貢献したい、と考える時間が増えました。それも踏まえて今、やはり自分がどう生きるかを考えるようになりました。それで歌がどう変わったかは定かではありませんが、自分に何が出来るかを証明するために歌う、という感覚がなくなってきたと思います。そして2月に仙台で行われる「おとのわ」プロジェクト#のようなイベントへの参加に、非常に意義を感じるようになりました。

#「おとのわ」プロジェクト
被災した(主に)子ども達を支援する為、仙台を拠点に活動するプロジェクト。東京ローカル・ホンクは2月19日に仙台Rensaで行われる「おとのわ」プロジェクト主催イベント"おとのわ 〜つながる音、つながる想い〜"に友部正人、曽我部恵一ほかと共に出演します。

16:今後はどんなサウンドを作ろうと思っていますか?

田中邦雄:フォースのお導きのままに…。

木下弦二:
あまり考えていません。が、上手くいけば今年前半にインストアルバムを出せたらと思っています。

17:ファンに一言御願いします。

井上文貴:ホンク!出発します!ライブ会場で会いましょう!

田中邦雄:
アルバム『さよならカーゴカルト』を貴方のお友達10人に紹介していただき、それぞれ御購入していただきますよねぇ?その10人のお友達が更にまたそのお友達10人に…

新井健太:
ホンクの曲を聴いてくれているみなさんありがとうございます。地球規模でピンチを迎えている今、最終的には何かを聞いたり見たりして受けた直感や喚起されたものに耳をかたむけ、正直になることが一番大切なのではないかと思っています。今回の僕らのアルバム『さよならカーゴカルト』はいろんな事を喚起させるチカラをもっていると信じています。これからもヨロシクお願いいたします。

木下弦二:
ホンクについてみんな「多くのことは期待できないが、ホンクはここだけは裏切らない」と感じてもらえていると思います。そこだけは裏切りません(笑)。これからもよろしくお願いします。

(This email's interview is current as of February. 2012)
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The Credit will read:
Posted with permission from Tokyo Local Honk
Related website LINK:Tokyo Local Honk

東京ローカル・ホンクとは?:
田中邦雄( Dr 、Cho )、木下弦二( Vo 、G )、新井健太( B 、Cho )、井上文貴( G、Cho )
1994 年、ロックバンド" うずまき" として誕生、2001 年に" 東京ローカル・ホンク" に改名した。久保田麻琴プロデュースによる1st. アルバム『東京ローカル・ホンク』、セルフプロデュースとなった2nd.『生きものについて』、アンプラグド及び音の小さいエレキ編成での演奏を集めたLIVE アルバム『クワイエット・ロックンロールの世界』など、マイペースながら意味のこもった作品だけを発表し、その音楽性/演奏力は忌野清志郎や佐野元春、サンコンJr.(ウルフルズ)他から高い評価を得ている。他アーティストとの交流も積極的で、友部正人との共演はアルバム『クレーン』(2010) を生み、その後のツアーでも語り草になる名シーンを多数残した。2011 年は鈴木茂との2度に渡る共演や、シングルの連続配信リリース等で話題を撒き、さらなる充実の時を迎えている。そして11 月16 日、4年ぶり待望のオリジナルアルバム『さよならカーゴカルト』をリリース!あわせてツアーを敢行、ますます冴えわたる音楽性に期待は高まるばかり!


NEW ALBUM_Now on sale!:
さよならカーゴカルト
4年ぶり待望のオリジナルアルバムは先行シングル3曲の別ヴァージョンを含む全11曲入り!¥2,500(tax in) / MINE'S RECORDS MR-011 Produced by Tokyo Local Honk Mixed & Mastered by Makoto Kubota


LIVE INFORMATION
•2月18日(土) 盛岡 紅茶の店しゅん TEL:019-623-3036
•2月19日(日) 仙台 Rensa TEL:022-713-0366
•2月20日(月) 郡山 THE LAST WALTS TEL:024-924-1654
•3月23日(金) 吉祥寺 STAR PINE'S CAFE TEL:0422-23-2251



Questioner: Yukiko Yamaguchi
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