2011-10-05

カリル·ロペ ( ル・クリスタル・ド・セル ) 2011. October. 10th.

1:お店の名前が愛らしいですが 名前の由来を教えてください。

カリル·ロペ :
“クリスタル”は純粋で透明なものを連想させるし、“セル(塩)”は“命”と同義語で、厨房に欠かせないものでもありますよね。当店の厨房がオープンで“透明性”というコンセプトがあること、そして塩(加減)が店の生命であることからこの名前をつけました。

2:シェフとして「食の魅力」についてどうお考えですか?

カリル·ロペ :
料理人にとって「食」は素晴らしい感動で、すべての感覚を“オン”にしてくれます。嗅覚・視覚・味覚によって私たちの想像力と創造力が活性化し、いろんな世界を体験できるんです。

3:料理を創造するとき 何からインスピレーションを受けますか?

カリル·ロペ :
私の場合、主に季節からです。その時節に手に入る旬の素材をできる限り使うようにしています。自然の恵み、自分の欲求、この二つが混ざり合って、それが作りたいメニューとなるんです。特に使いたい食材からも着想を得るし、そうした食材がメイン素材か、一素材となります。あっという間にレシピができあがりア・ラ・カルトに加えるのもあれば、なかなか完成できないのもあって、未完成の料理はまた次の年に完成されるか、別な季節に採り入れられるかです。

4:あなたにとってよい料理、悪い料理とは?

カリル·ロペ :
私にとって良い料理というのは、きちんと手間ひまかけて調理されたもので、ちゃんとした手順で下ごしらえと調理(特別難しいことではなく)がなされ、そして人間味のある仕事がなされてなくてはならない。良い料理はボリューム満点で、リーズナブルで、心を動かすもので……挙げる項目が多くなってしまう!!!悪い料理はそのまったく逆で、箸が進まず、香りも感じられなかったり嫌な匂いがしたり。リーズナブルじゃなく、何ひとつ仕事ができてない。馬鹿にされてるような気がするし、何ひとつ心を動かされない。粗悪な料理というのは詐欺に等しく、失礼です。こういう料理にはたいてい怒りがこみあげます。

5:宇宙人に会ったらどうしますか?

カリル·ロペ :
彼が何を食べ、何を摂取してるのか知りたいね。で、彼から料理を教えてもらって、もしよければ僕の作った料理を食べてもらいたい!

6:家族の団らんを思い浮かべる食べ物は何ですか?

カリル·ロペ :
私が家族を思い出す料理というのは、母が手間ひまかけて作ったものです。まずポ=ト=フ。私の好きな食べ方は、まず最初にブイヨンをフォークで潰した野菜と一緒に味わって、それからちぎったパンをブイヨンにつけて食べる。プール=オ=ポ、これはたっぷりのホワイト・ソースと、米、煮た野菜を添えて食べる(でも、何といってもホワイト・ソースを本当にたっぷり!!!)。母のじゃがいものソテーも素晴らしいものでした。クレープも、私が学校から家に戻るとその匂いで大はしゃぎ。それにママンお手製のレモンの皮を添えたリ・オ・レ(ライス・プディング)。それからアマンド・オ・クロケット。美味しいカリッとした食感のクッキーで、大きなアーモンドが丸ごと入っていた。残念なことに母がレシピを紛失してしまいましたが。

7:日本は好きですか?印象はどうですか?日本の好きな点をひとつだけ教えて下さい。

カリル·ロペ :
日本について知ってるといえるほどじゃなく、残念ながら今のところ一度行っただけ(でもぜひまた行ってみたい)ですが、日本は大好き。見たものすべて素敵だったし、興味深かった。なかでも忘れ難いのは、日本のみなさんの親切な心遣いと臨機応変なもてなしです。すべてが私たちが快適なようにと考えられ、それが機能していました。和食にも夢中で、どの料理にも興味を引かれるし味わってみたい。中には自分の好みじゃない料理もあると分かっていても全部試してみたい。何人かの日本人シェフとも一緒に仕事をしたけれど、特に好感が持てるのは彼らの厳密さ、忍耐強さ、謙虚さ、面倒見の良さ、熱心さです。仕事がきちんとしていて、几帳面で他人を尊重するところが好きです。付き合いのある日本人記者はみなとても丁寧で建設的、いつもスムーズに事が運びますね。今度日本に行けば、まだもっと気づくことがあるでしょう。

8:パリで好きな景色は何ですか?どこですか?どうして?

カリル·ロペ :
サン・ルイ島とノートル=ダムの大聖堂。パリの中心の歴史に包まれたすごく古い界隈にあります。そこで600年の昔に思いを馳せるのが好き。

9:あなたが子供の頃 どんなお菓子が好きでしたか?

カリル·ロペ :
クレープに目がなくて、母はいつも何十枚も作って積み重ねてくれました!!リ・オ・レも、食べられるよう冷えるのを待つのが一番つらかった!チョコレート・ムース、それから、りんごがぎっしりで無添加の生クリームがたっぷりのタルト・タタン!


10:あなたにとって 「静寂」とは何か?

カリル·ロペ :
精神集中とインピレーション。

11:あなたにとって 「デザート」とは何か?

カリル·ロペ :
ハッピー・エンド。そしてこれがなければ食事は終わりません。

12:あなたにとって「美」とは何ですか?

カリル·ロペ :
“感動”です。

13:料理は文化や芸術の一部でしょうか?

カリル·ロペ :
私は両方に属していると思っていて、人間が何世紀もかけて様々なレシピを作り上げてきたという意味において料理はアートだし、世代から世代へと受け継がれていくべきものだという意味では文化ですね。

14:仕事の面白さはどこにありますか?

カリル·ロペ :
結果です。たとえそれが厳しいものであったとしても、ね。料理を愛するには、情熱が必要です。で、私が大切にしているのは、お客さんたちが喜んでくれて、私の料理を食べて感動してくれる瞬間で、つまりそれが私にとっての成功なんです。決して忘れてならないのは、料理は自分自身のためでなく誰かのためにするものだということ。料理というのは正にちょっとしたものを自分から他人に提供するのであって、もし好きで作るのでなければ心のこもった素晴らしいものにはなり得ません。私はいろいろと試行錯誤して結果を探求するのが好きなんだ。料理に多くのエネルギーを費やすれば、自分もまた料理からエネルギーを吸収できる。だから労を惜しんではいけないんだ。また、人とのコミュニケーションも大切にしています。つまり一人でできることはたかが知れているし、料理においては人間関係がうまくいっているときはお互い“あ・うん”の呼吸で通じ合えるんです。

15:あなたが一番気に入っているにおいや香りは何ですか?

カリル·ロペ :
ベルガモット、それにトマトの葉。

16:次に挑戦しようとしていることは?

カリル·ロペ :
いっぱいありすぎて、ひとつには絞れません!!

(This email's interview is current as of August. 2011)
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The Credit will read:
Posted with permission from Karil Lopez ( Le Cristal de Sel )
Related website LINK:Le Cristal de Sel
Questioner: Yukiko Yamaguchi
Translation: Satoko Kawabata

Restaurant data: Le Cristal de Sel【ル・クリスタル・ド・セル】

13 rue de Mademoiselle 75015 Paris 
Tel : 01 42 50 35 29

営業時間 : 12:00~14:30 / 19:00~22:30

定休日 : 日・月 
メトロ : 8番線 Commerce / Félix Faure
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